第18回実装プロセステクノロジー展

みなさん既にご存知の通り、今年はJUKIの出展がありませんでした。いつもなら会場一番奥に並ぶマウンターメーカーの大きいブースは、FUJI、ヤマハ、Panasonicの3社となり、JUKIの空いたスペースに千住金属が入りました。ここのところ毎年のように、マウンターメーカーの出展が減っています。ソニー、アイパスル(今年からYAMAHAブース内に併設)そして今年はJUKIです。そのせいもあるのでしょうか。お客さんは思った以上に少ないようです。一抹の寂しさを感じます。

 

 

 

さて、今年の展示ですがここ数年の傾向と同様、設備そのものを派手に宣伝するのではなく、設備の運用や付帯設備との連携を重点に展示がされていました。ただあえて言うなら、YAMAHAのZ:TA-R(YSM40R)が人目を引いていました。前々から噂のあった、日立のヘッドをヤマハのプラットフォームに載せる仕様を実現し、カタログ値で20万CPHをうたっていました。設備幅1000mmのスリムな筐体に4ビーム4ヘッドでロータリーを搭載しており、よくこれだけ詰め込んだものです。ヘッド仕様はロータリーのほかに、従来のマルチヘッド、異形ヘッドを選択することができます。

 

マウンターと他設備との連携は、やはりどこも検査装置とデータをやり取りし、検査結果からマウンターの制御をおこなったりメンテナンス警告を出すもので、特に目新しさはありません。対応できる検査機メーカーが増えた程度でしょうか。

また、省人化、自動化というコンセプトも目立ちました。自動スプライシングや、オートロードフィーダー、自動フィーダーメンテナンスなど、細かい人の手がかかるところを設備で行おうとするものが多いようです。余談ですが、一緒にオートロードフィーダーを見ていた人が、

「結局リールは人が持ってこなきゃならないんじゃん。他のものだって人の負担は減っても、人そのものがいらなくなるわけじゃないよね。」

「だったら、ASIMOみたいな器用なロボットにいろいろさせたら?そんないろいろ買わなくて済むし。」

 と冗談半分で言っていましたが、まさに正論だと思いました。

会場全体で気になったことは、異形部品の挿入機やそれに絡む設備がいろんなブースで展示されていました。従来のマウンターメーカーのパナや富士もインライン型の異形送入機を展示していましたが、面白かったのが川崎重工業株式会社です。ここ最近基板関係の展示会でよく見かけるようになりました。

展示してあったのは、双腕型のスカラロボットです。案内の人に許可をもらって写真と動画を撮りました。

 

マウンターメーカーのインライン型挿入機はさすがによくできています。しかし、とにかく設備が大きい。パナのNPM-VFは、幅が約2000mm弱、奥行きが本体だけで2400mm、これにフィーダーが付きますから、軽く3m超えです。さらには、大きくて重たそうなフィーダー。何キロあるのか、説明員に聞いてみましたが、わからないということでした。わからないほど重いのでしょうか。

これに対して、ロボットはキャスターがついていて台車のように運べるサイズ。ワークにもよると思いますが、作業台のスペースがあれば事足ります。

もちろんタクトは専用機に比べかなり遅くはなりますが、現在の表面実装基板の後付け部品程度の個数、また多品種少量生産では、これで十分ではないでしょうか。マウンターメーカーの挿入機はオーバースペックのような気がします。

また、最近川崎重工では、「ロボット派遣」という面白い試みも始めたそうです。月額レンタル料18万2千円~レンタル可能だそうです。(実際は東京センチュリーリースが行っています。

説明員によると、「24時間休まず働きますので、派遣さんを雇うより安いです。」ということでした。もちろんロボットだけでは、なにもできませんから、プログラム、周辺機器メーカーなど含めて、紹介いただけるということでした。

 

冒頭に紹介したとおり、年々マウンターメーカーは減っており、かつての勢いが感じられなくなりましたが、ここにきてインダストリー4.0やIoT関連、特に多品種少量生産へのハードルが低そうなロボット等の展示が増えてきました。ちょうど時代の変わり目、過渡期なのかもしれません。そういう意味では、今後とも目の離せない展示会ではないかと思います。今後も可能な限り、情報を収集し皆様にお伝えできればと思います。

 

なお、ここで紹介した詳細な内容は各メーカーおよび営業にお問い合わせください。